【実体験】中小企業診断士の独立開業マニュアル|失敗の原因や解決策も紹介

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中小企業診断士は将来的な独立開業を目指して取る方が多い資格です。しかし独立開業までには色々な手続が必要で、心理的なハードルが高いですよね。

そこでこの記事では、実際に中小企業診断士に合格して法人を作った私の経験をもとに、中小企業診断士の独立開業について広くお話します。

この記事で分かること

・合格から独立開業までの事務手続
・独立開業に失敗する原因
・独立開業の失敗を回避するコツ

中小企業診断士に合格して独立を考えている方、独立を前提に試験勉強に取り組もうとしている方は、ぜひ最後まで記事を読んでください。

中小企業診断士試験に効率よく合格する勉強法を知りたい方は、本記事を読んだ後に以下の記事も読んでいただけると理解が深まるかと思います。

執筆
花月 諒(かげつ りょう)
経済産業大臣登録 中小企業診断士

通信講座と独自の二次試験解法を組み合わせた勉強法で、中小企業診断士に約200時間で合格。2023年、二次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。

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目次

中小企業診断士の独立開業までの事務手続き

中小企業診断士が試験に合格してから、独立開業するまでの手順を解説します。

STEP

実務補習

二次試験に合格したら15日間の実務補習を受けます。すでにコンサルティング業に従事している方は、勤務先から実務従事の証明書を発行してもらえれば実務補習をパスできます。

STEP

中小企業診断士登録

実務補習を終えたら、経済産業省に中小企業診断士として登録します。合格から3年以内に登録しないと、登録の権利を失うので注意してください。

STEP

独立形態の検討

個人事業主、法人のどちらで独立するかを決めます。法人の場合は株式会社か合同会社かもここで考えます。

STEP

印鑑作成

取引に必要な印鑑を作りましょう。私は印鑑の匠ドットコムで作りました。契約書や領収書などを電子データでやり取りすることが想定されるなら、電子印影も作ります。

STEP

オフィス契約(法人のみ)

法人を設立する場合は、登記に際して法人の所在地が必要です。固定費を抑えたい人は、GMOオフィスサポートなどのバーチャルオフィスを使いましょう。

STEP

固定電話の契約(法人のみ)

法人用の銀行口座を作る場合、大抵は固定電話が必要になります。IP電話の03plusを使えば、手持ちのスマホで固定電話の番号を使えます。

STEP

登記(法人のみ)

定款の作成や出資金の払い込みを行い、法務局に法人設立の登記をします。Freee会社設立を使えば自分でもできますし、時間を節約したい人は司法書士に依頼しましょう。

STEP

書類提出

法人設立の登記が完了したら、税金、保険関係の書類を提出します。面倒ですが、期限内に済ませましょう。

書類名提出先
法人設立届出書法人市民税窓口
法人設立届出書法人県民税窓口
法人設立届出書税務署
青色申告書の承認申請税務署
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署
新規適用届年金事務所
法人設立時の提出書類

最も提出期限が早いのが、健康保険・厚生年金保険の「新規適用届」で、設立から5日以内に提出が必要です。このタイミングに合わせて、全部の書類を出し切るのがおすすめです。

STEP

銀行口座開設

登記が終わり、固定電話を準備できたら法人用の銀行口座を作ります。審査に通るには、取引実績を示す書類や活動内容を明記したWebサイトが必要です。

STEP

Webサイト制作

士業として活動するならWebサイトは必須です。受注の窓口にもなりますし、クライアントがこちらの実力を測る指標にもなります。

当社では士業向けのWebサイト制作をお受けしております。見積をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

以上が中小企業診断士合格後に独立開業するまでの手順です。

中小企業診断士の独立開業後に失敗する原因

中小企業診断士が独立開業後に失敗する原因は主に以下の3つです。

  • ムダな費用が生じている
  • 仕事が取れていない
  • 取れた仕事を遂行できない

それぞれくわしく解説します。

原因①ムダな費用が生じている

中小企業診断士は、独立開業を維持するだけならそこまで大変な資格ではありません。設備投資や在庫が不要で、必要な費用が少ないからです。1人で法人化する場合、主な費用は以下です。

  • 家賃
  • ツールの利用料
  • 人件費
  • 資格の維持費
  • 交際接待費
  • 役員報酬(自分の給料)
  • 社会保険料
  • 支払利息
  • 税金(法人税など)

独立開業後に失敗する場合、大抵は費用にムダがあります。例をいくつか挙げます。

  • 自宅と別にオフィスを借りている
  • ほぼ使っていないツールを契約している
  • 仕事も無いのに社員を雇っている
  • 成果につながらない営業活動が多い
  • 実力以上の役員報酬を設定している
  • 高い利率で融資を受けている
  • 損金参入できる経費を計上していない

こうしたムダが積み重なると、たとえ利益率が高いコンサルティング業でも経営は悪化します。特に交際接待費の使いこみは要注意です。(それで廃業したコンサルタントを何人も見てきました)

原因②仕事が取れていない

費用を削っても、仕事が取れなくては事業を継続できません。中小企業診断士は、コンサルティング業、講師業、執筆業の3つが主な仕事です。

中小企業診断士の仕事の全体像。主にコンサルティング業、講師業、執筆業の3つがある。
中小企業診断士の仕事(全体像)

中小企業診断士には独占業務(中小企業診断士だけに許される業務)がないため、自分で仕事を生み出す行動力が求められます

具体的な業務内容や仕事の取り方は、以下の記事で解説しています。

原因③取れた仕事を遂行できない

せっかく仕事が取れても、仕事の進め方が分からない、パソコン作業が遅いなどのスキル不足により仕事が遂行できない場合があります。

クライアントの期待値を下回ると、基本的に二度と仕事はもらえません。さらに地域や業界内で悪評が広まると、他のクライアントからも受注が難しくなります。

中小企業診断士の独立に失敗しないコツ6つ【実体験】

私は2022年に中小企業診断士として独立開業(法人化)したのですが、知識がなくて損をした、失敗したと感じた経験がたくさんあります。

そんな私の経験をもとに、士業が独立開業に失敗しないために重要だと感じたことを紹介します。

法人化は慎重に検討する

最初は個人事業主でOKです。事業所得が低い間は、個人事業主の方が税金の負担が少ないからです。

法人を作る場合も、選択肢は株式会社だけではありません。設立費用を抑えられる合同会社も検討しましょう。

【参考】合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリットについて解説(Freee)

家賃をおさえる

最初は家賃を抑えましょう。売上も立たないうちから、見栄を張って好立地で新しいオフィスを借りると、失敗への道まっしぐらです。

そもそも最初はオフィスすら不要です。賃貸物件に住んでいる人は、家の契約を法人名義に切り替えましょう。自宅を社宅扱いでき、家賃が経費になります。

低利の融資を活用する

手持ちの資金だけでは運転資金が不安な場合は、融資を受けましょう。おすすめは日本政策金融公庫です。独立したばかりの士業でも融資に通りやすく、若者(35歳以下)や女性に対する優遇もあります。

ストック収入を作る

仕事にはフロー型ビジネスとストック型ビジネスがあります。両者の違いは以下です。

フロー型ビジネスとストック型ビジネスの違い(リベラルアーツ大学より引用)
画像出典:リベラルアーツ大学「図解でわかるお金の基礎知識まとめ」

中小企業診断士の仕事は大半がフロー型ビジネスです。自分が働き続けないとお金は稼げない上に、景気やクライアントの意向に左右される部分が大きく、不安定です。

中小企業診断士がビジネスを安定させるには、ストック収入を増やす必要があります。私も以下を実践しています。

  • ブログ運営
  • 企業向けセミナーの動画販売
  • 中小企業診断士の対策教材の開発・販売

人脈を作る

士業を長く続けるには人脈が重要です。知人から紹介されたクライアントは、最初から信頼関係が築かれており仕事を進めやすいことが多いからです。

自営業の人が集まる交流会に参加する、お住まいの地域の中小企業診断協会に加入するなどして人脈を広げましょう。

コンサルスキルを学ぶ

ロジカルシンキング、Excel、資料作成などコンサルタントとしての基礎スキルを身につけましょう。コンサル業界の新入社員向けの本を読むのがおすすめです。

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中小企業診断士の独立開業後の廃業率

中小企業診断士の廃業率は公表されていません

「士業全体の廃業率は60%というデータがある」と書いているサイトがいくつも見受けられますが、データの出典や廃業率の定義をきちんと示しているサイトはありません。

インターネットの情報、特に数値データは出典の有無を確認しましょう。ネット上には想像以上にデマや嘘が多いのです。

中小企業診断士の独立開業に関するまとめ

今回は中小企業診断士試験に合格してから独立開業するまでの手続きを中心に話しました。また私の実体験から、独立の失敗パターンや回避策も伝えました。

独立は勇気がいるものです。失敗や廃業が怖い気持ちが生じて当然ですが、チャレンジしないことには人生は変わらないのも事実です。

試験に挑戦する意欲がわいた方は、ぜひ当サイトの他の記事もご覧になってください。

この記事を書いた人

中小企業診断士。一橋大学を卒業後、鉄道会社、コンサルティング会社で勤務。2020年、約200時間の勉強で中小企業診断士試験に一発合格。2023年に中小企業診断士2次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。短時間で試験に合格する勉強法、マインドを発信します。

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