中小企業診断士の養成課程とは?費用や内容を徹底解説【修了者のインタビューあり】

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中小企業診断士を目指している方なら「養成課程」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

しかし養成課程に通っている人はそう多くはなく、インターネットで調べても、養成課程の実態はよく分からないものです。

そこでこの記事では、二次試験対策に特化した個別指導塾を運営する私が、養成課程の仕組みを詳しく解説します。

記事の後半では、実際に養成課程を修了した方へのインタビューもお届けします。ぜひ最後までご覧ください。

二次試験全般について詳しく知りたい方は、中小企業診断士二次試験完全対策ガイドを読んでください。また一次試験に挑戦中の方は中小企業診断士に200時間で独学合格した勉強法もあわせてご覧ください。

執筆
花月 諒(かげつ りょう)
経済産業大臣登録 中小企業診断士

通信講座と独自の二次試験解法を組み合わせた勉強法で、中小企業診断士に約200時間で合格。2023年、二次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。

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目次

中小企業診断士の養成課程とは?

養成課程は、中小企業診断士の一次試験合格者を対象とした教育機関です。

通常、中小企業診断士になるには以下5つの過程を経なければなりません。

  • 一次試験
  • 二次試験(筆記試験)
  • 二次試験(口述試験)
  • 実務補習/実務従事
  • 中小企業診断士登録

養成課程を修了すると、上記の②、③、④の過程に代えることができます。

養成課程は二次試験の免除と言われることが多いですが、厳密には二次試験および実務補習(実務従事)の代替課程です。

養成課程では、経営学に関する座学やコンサルティング実務のカリキュラムが組まれています。

中小企業診断士の養成課程一覧

養成課程は全国に13か所あります。(2023年9月現在)

機関名所在地学費期間全日制MBA取得
中小企業大学校東京都235万円6ヵ月 
法政大学東京都259万円1年
日本生産性本部東京都275万円6ヵ月 
日本マンパワー東京都275万円1年  
日本工業大学MOT東京都250万円1年
城西国際大学東京都255万円2年
東洋大学東京都不明2年
千葉商科大学千葉県258万円2年
名古屋商科大学愛知県394万円2年 
中部産業連盟愛知県242万円1年  
大阪経済大学大阪府200万円1年
兵庫県立大学兵庫県184万円2年 
福岡県中小企業診断士協会福岡県275万円1年  
札幌商工会議所北海道204万円6ヵ月 
養成課程一覧

掲載情報は2023年9月時点。最新情報は必ず各機関のWebサイトでご確認ください。

学費や学習期間などについて説明します。

養成課程の学費

学費は200万円〜300万円の機関が大半です。

二次試験対策に特化した予備校の学費(20万円〜30万円が相場)と比べると非常に高額です。

養成課程に通う期間

最短で6ヶ月、最長で2年と幅があります。全日制の学校は、通学期間が短いですが平日昼間に講義があります。

会社の制度を使って派遣されるか、休職・退職しないと入れません。

MBAを取得できる養成課程もある

一部の養成課程は、修了するとMBAを取得できます。どうせなら中小企業診断士と一緒にMBAも取ろうという人にはおすすめです。

中小企業診断士の養成課程に通う意義

高い学費を払い、仕事やプライベートの時間を削ってでも養成課程に通う意義はあるのでしょうか。

私の周りにいる養成課程出身者から聞いた話をまとめると、以下のような意義があると言えます。

  • 確実に中小企業診断士になれる
  • コンサルティングの実務を経験できる
  • 人脈が広がる

確実に中小企業診断士になれる

養成課程は、修了さえすれば確実に中小企業診断士になれます。

二次試験の合格率が約18%であることを考えると、これは大きな魅力です。

コンサルティングの実務を経験できる

養成課程に入ると、必ず実務の授業があります。学校や教授がつながりを持つ民間企業に対してコンサルティングを行うことが多いです。

コンサルティング会社で働いたことがない方にとっては、貴重な実務経験となります。全くの未経験と比べると、多少は独立しやすくなるでしょう。

人脈が広がる

養成課程に入れば、同期のメンバーや教授、クライアントの担当者などとの人脈が作れます。

人脈が広がれば、独立後に仕事を紹介しあえるなどのメリットがあります。

中小企業診断士の養成課程の出身者は下に見られるのか?

ネット上では「養成課程は二次試験に受からない人のための救済ルートだ」「妖精さん」など、養成課程出身者を下に見る、心無い意見も見受けられます。

これに関しては、全く気にしなくて良いでしょう。どちらも制度として用意されているのだから、二次試験に受かろうが養成課程を修了していようが同じです。

経営コンサルタントとして大事なのは、クライアントにどれだけの価値を提供できるかです。

むしろ、養成課程出身者を差別するような度量の小ささの方が問題でしょう。

中小企業診断士の養成課程修了者の実体験

ここからは、養成課程を修了して中小企業診断士になった竹内希菜さんのインタビューを通じて、養成課程のリアルな体験を紹介します。

この人に聞きました

竹内希菜さん

中小企業診断士。大手外資系コンサルティングファームに勤務しながら、セミナー登壇など精力的に活動している。基幹システム刷新・DX推進などのプロジェクト経験が豊富なITコンサルタントとして活躍。

-竹内さん、よろしくお願いします。まずは養成課程に入学するまでの経緯を教えてください。

私は2017年・2018年に2次試験を受けましたが、残念ながら合格できませんでした。ただ、どうしても中小企業診断士になりたくて養成課程への進学を決意し、日本工業大学MOT(以下、MOT)に入学しました。平日夕方以降と土日に受講でき、1年で修了できるのでMOTを選びました。

-養成課程ではどのような入試が行われるのですか?

15分間のプレゼンでした。志望理由や自己PR、これまでのキャリア、中小企業診断士になったら取り組みたいテーマなど、わりと普通のことが問われました。当時の倍率は6~7倍だったと記憶しています。

-入るだけでも大変ですね。合格のコツは何でしょうか。

顧客の課題解決に対する意欲を示すことが重要です。「勉強します!」という熱意だけでなく、MOTでの学びを通じて、どのようなコンサルタントになりたいかを語る意識で臨みました。

-講義のスケジュールを教えてください。

平日は火曜・金曜の18:30~21:30。土曜日は9:30~20:00でした。

-働きながらでも通えるスケジュールですね。通学について職場の理解は得られましたか?

当時はSEとしてお客様のオフィスに常駐していたのですが、職場の理解により、講義の日は定時にあがらせてもらうことができました。まわりのご理解のおかげで勉強を続けられました。

-環境に恵まれましたね。ところでMOTの学費は200万円とのことですが自腹でしたか?

全額自腹です。貯金を少し切り崩しました(笑)ただしMOTは「教育訓練給付制度」が使えたので手出しは160万円くらいでしたね。

-ほかの生徒の年齢層は男女比を教えてください。

同期15人の中で女性は私1人でした。年代は40~50代がボリュームゾーンで、60代の方もいました。MOTは東京の神田にキャンパスがありますが、遠い人は長野県から通っていましたね。

-長野から通う気概がすごいですね。メンバー間の結束は強かったですか?

それはチームによりますね。MOTでは15人を5人ずつの3チームに分けてグループワークを行います。業界や役職もバラバラなので、進め方に戸惑ったり、議論が白熱する場面も多くありました。でも不思議なもので、実習のときに激論を重ねた人ほど修了後もつながっているんです。養成課程の同期どうしで仕事を紹介しあったり…

-グループワークでは具体的に何をやるんですか?

学校とつながりのある企業様に対してコンサルティングを行います。「現状調査」⇒「課題の抽出・整理」⇒「解決方向性の検討」⇒「具体的な施策の検討」という流れが多いですね。

-コンサル会社の仕事と似ていますね。 竹内さんご自身も今はコンサル会社で働いていますが、ちがいは感じますか?

コンサル会社だと「中長期的な事業戦略立案」みたいなフワッとした仕事も多いじゃないですか。それとちがい、養成課程の実習では「即効性のある改善施策」が求められました。私が担当した実習では、売上向上やコスト削減に直結するシステムの選定~評価などをやりましたね。

-すばらしいですね。そうやってクライアントの経営改善を数字できちんと示すのがコンサルのやるべき仕事だと思います。話がそれましたが、養成課程はハードと聞きます。繁忙期は何時くらいまで仕事をしてましたか?

報告前の1~2週間は毎晩3時ごろまで仕事してましたね。報告書はWordで作ることが多いのですが、とにかく時間がかかります。。

-3時ですか!コンサルファームではよく聞く話ですが…笑

本業の後で作業するしかありませんからね。今思い出しても、かなりハードでした。

-そこまでキツイと中退する人もいるんじゃないですか?ネットの記事では「養成課程はドロップアウトする人も普通にいる」なんて見ますけど。

私が通ったMOTの同期は1人も中退せず、全員が修了しました。ただ転勤で通えなくなったり、どうしても本業が忙しくなって折り合いが付かなくなって辞めるケースはあるでしょうね。

-最後の質問です。養成課程に通って良かったと思いますか?

1年で中小企業診断士になれたし、素敵な講師や同期に会えたので、通って良かったと思います。ただ2次試験に受かるなら、それに越したことはないとも感じます。養成課程はお金・時間・体力面の負担が大きいのも事実ですから。

2次試験を受けずに最初から養成課程を志望する人もいると聞きますが、個人的にはまず一度は2次試験にチャレンジするのがおすすめです。2次対策で学ぶ「構造化した文章を書く能力」は仕事にも必ず活かせるし、自分の成長につながるからです。

-養成課程のリアルな実態がよく分かりました。本日はありがとうございました!

中小企業診断士の養成課程のまとめ

今回は中小企業診断士の養成課程について開設しました。最後にポイントを整理します。

  • 養成課程を修了すれば、二次試験と実務補修を経ずに中小企業診断士になれる
  • 養成課程は全国13ヵ所。学費は200万円〜300万円で、期間は6ヶ月〜2年かかる
  • 働きながら通うのは大変。得るものも多いが負担も大きいことは覚悟すべき

自分にとって費用対効果が良いと思ったら選択肢の1つとして考えましょう。

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この記事を書いた人

中小企業診断士。一橋大学を卒業後、鉄道会社、コンサルティング会社で勤務。2020年、約200時間の勉強で中小企業診断士試験に一発合格。2023年に中小企業診断士2次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。短時間で試験に合格する勉強法、マインドを発信します。

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