証券アナリストと中小企業診断士の難易度の違いは?どっちを取るべき?
証券アナリストと中小企業診断士は、いずれも社会人に人気のある資格試験です。
この記事では証券アナリストと中小企業診断士を様々な観点で比較します。
- 証券アナリストと中小企業診断士の違い(難易度・仕事)
- 証券アナリストと中小企業診断士のダブルライセンスの利点
- 証券アナリストによる中小企業診断士試験の免除制度の有無
どちらの資格を取るべきか悩んでいる方、またはすでに片方の資格を持っていて、ダブルライセンスを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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証券アナリストとは?
証券アナリストとは、企業分析や株式・債券の評価を行う投資の専門家です。公益社団法人日本証券アナリスト協会(CMA)が試験を実施しています。
「証券アナリストとは、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルです」
公益社団法人日本証券アナリスト協会(CMA)
中小企業診断士とは?
中小企業診断士は、中小企業の経営について助言・診断を行う「経営コンサルタント」の国家資格です。一般社団法人中小企業診断協会が試験を実施しています。
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士ってなに?」
資格の概要や試験の詳細は、中小企業診断士とはどんな資格?難易度は?初学者向け完全解説記事をご覧ください。
証券アナリストと中小企業診断士の違い|試験の難易度
ここからは、証券アナリストと中小企業診断士をの難易度を以下の観点で比べます。
- 受験資格
- 試験科目
- 合格基準
- 合格率
- 偏差値
- 勉強時間
受験資格
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
制限なし | 制限なし |
いずれの資格にも受験資格の制限はありません。年齢・学歴・職歴・国籍などの制限なく、誰でも受験できます。
ただし証券アナリストは、CMAが開催する講座を受講しないと受験資格が得られません。
試験科目
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
【二次試験】1科目 | 【一次試験】3科目【一次試験】7科目 【二次試験】4科目 |
どちらも二段階で試験が行われます。
証券アナリストの学習分野は以下6つ。
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 財務分析
- コーポレート・ファイナンス
- 市場と経済の分析
- 数量分析と確率・統計
- 職業倫理・行為基準
一次試験はこれらの分野を3科目に分けて出題されます。二次試験は全分野を対象とした総合試験が出題されます。
中小企業診断士はまず以下7科目の一次試験が行われます。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
その後、以下4科目の二次試験が行われます。
- 事例Ⅰ(人事・組織)
- 事例Ⅱ(マーケティング)
- 事例Ⅲ(生産・技術)
- 事例Ⅳ(財務・会計)
単純な科目数は中小企業診断士の方が多いです。
合格基準
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
【一次試験】 60%程度 | 【一次試験】 700点中420点以上&40点未満の科目無し |
【二次試験】 50%程度 | 【二次試験】 400点中240点以上&40点未満の科目無し |
証券アナリストの合格基準は公表されていませんが、一次試験は60%、二次試験は50%程度で合格できると言われています。
中小企業診断士は、一次試験は純粋な絶対評価で、60%以上取れれば合格です。(ただし40点未満の科目が1つでもあれば不合格)
二次試験も絶対評価のように見えますが、合格率が毎年18%程度に調整されており、実質的には相対評価の試験です。
合格率
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
【一次試験】約50% 【二次試験】約50% | 【一次試験】約30% 【二次試験】約18% |
合格率は中小企業診断士の方が低いです。
偏差値
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
57 | 67 |
資格の紹介サイト「資格の取り方」によると、偏差値は中小企業診断士の方が高いです。そもそも、証券アナリストが民間資格であるのに対し、中小企業診断士は国家資格という違いもあります。
勉強時間
証券アナリスト | 中小企業診断士 |
---|---|
200時間 | 1,000時間程度 |
一般的にはこれくらいかかる、と言われる勉強時間です。ただし資格試験の勉強時間は、予備知識の量や勉強の効率により大きく変化します。
勉強時間は証券アナリストが短いですが、CMAの講座の受講が必須になる都合上、取得には最短で1年半かかります。さらに二次試験合格後、3年の実務経験を積まないと証券アナリストを名乗れません。資格登録までの期間は、むしろ証券アナリストの方が長いと言えます。
証券アナリストと中小企業診断士の違い|仕事内容
続いて両資格をキャリアの面で比較します。
業務内容
証券アナリストは、基本的には証券会社で働く人のための資格です。証券投資の意思決定に必要な企業分析、株式・債券評価などを行います。銀行、保険会社など証券以外の金融機関で勤務する方が取るケースもあります。
一方、中小企業診断の仕事は多岐にわたります。仕事の全体像は以下です。
顧客の課題解決や、そこで得た知見を講師業や執筆業で共有することが主な仕事です。詳細は中小企業診断士は何ができる?仕事内容10選で解説しています。
年収
日経証券アナリストの平均年収は1,029万円ほどと高額です。ただしこれは、証券アナリストの資格が強いのではなく、資格保持者が勤める証券会社の給料が高いのです。
一方、中小企業診断士の年収のボリュームゾーンは500万円~800万円と言われます。勤務先やランクによりますが、どちらの資格も会社員の平均よりは高い収入を得られます。
証券アナリストと中小企業診断士のダブルライセンスのメリット
結論から言うと、ダブルライセンスにそこまでのメリットは無いです。業務領域の違いが大きいからです。
強いて言えば、証券アナリストは企業の経営幹部と交流する機会が多いので、中小企業診断士を持っていれば若干はプラスに評価されるかもしれません。
なお証券アナリストも持っている中小企業診断士はほとんどいません。(下図参照)
ダブルで持っていれば転職活動に有利との言説もありますが、証券業界の転職で中小企業診断士が評価されるという話は、私は聞いたことがありません。
なお証券アナリストを持っていても、中小企業診断士試験が免除されることはありません。
証券アナリストと中小企業診断士に関するまとめ
今回は証券アナリストと中小企業診断士の違いや、ダブルライセンスのメリットを解説しました。自分が実現したいキャリアを踏まえて、必要な資格に挑戦しましょう。
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