中小企業診断士二次試験|事例Ⅳ(財務・会計)の勉強法【予備校の代表が解説】

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中小企業診断士二次試験で、特に対策が大変なのは事例Ⅳ(財務・会計)です。計算問題が大半で、内容も難しいからです。

私は二次試験対策に特化した個別指導塾を運営していますが、ほぼ全員の受講生が「事例Ⅳが最もきつかった」と言っています。

この記事では、私の指導経験をもとに、事例Ⅳで合格レベルの60点以上を取るための勉強法やおすすめのテキストを紹介します。

二次試験全般について詳しく知りたい方は、中小企業診断士二次試験完全対策ガイドを読んでください。また一次試験に挑戦中の方は中小企業診断士に200時間で独学合格した勉強法もあわせてご覧ください。

執筆
花月 諒(かげつ りょう)
経済産業大臣登録 中小企業診断士

通信講座と独自の二次試験解法を組み合わせた勉強法で、中小企業診断士に約200時間で合格。2023年、二次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。

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目次

中小企業診断士二次試験|事例Ⅳの出題分野

事例Ⅳは大問が4つ、それぞれに2〜3個程度の小問が連なる構成になっています。2023年の事例Ⅳの設問構成は以下でした。

第1問(1)経営分析
第1問(2)経営分析
第2問(1)CVP分析
第2問(2)セグメント会計
第2問(3)セグメント会計※
第3問(1)意思決定会計
第3問(2-1)意思決定会計
第3問(2-2)意思決定会計※
第4問(設問1)OEM生産の財務的利点※
第4問(設問2)新製品販売の財務的利点※
2023年度事例Ⅳの設問構成(※は文章問題)

設問は全10問。そのうち4問が文章問題です。事例Ⅳでは以下の3分野が必ず出題されます。

  • 経営分析
  • 損益分岐点(CVP)分析
  • 意思決定会計

それぞれの内容を説明します。

経営分析

企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書)を読み、収益性・効率性・安全性の観点から経営指標を算出する問題です。

毎年ほぼ同じ形式で出題され、レベルも易しいため、絶対に落とせません。

損益分岐点(CVP)分析

損益計算書をもとに、損益分岐点売上高などを算出する問題です。

基本的には公式を覚えるだけで解けますが、最近は計算の前提条件が複雑になるなど難化しています。

意思決定会計

複数ある投資案のキャッシュフローおよびその現在価値を算出し、最適な投資案を求める問題です。

計算量が非常に多く、完璧に答えられる受験者がほぼ現れない年もあるほど難しいです。

深追いはせず、難しい設問は思い切って捨てる必要があります。

以上が主要3分野です。その他、以下の分野が2~3年に一度くらいの頻度で出題されます。

  • セグメント会計
  • キャッシュフロー計算

中小企業診断士二次試験|事例Ⅳで60点を取れる勉強の手順

事例Ⅳで60点を取るには、以下5つの手順で勉強しましょう。

  • 分野別問題集を買う
  • 経営分析を演習する
  • 損益分岐点分析を演習する
  • 意思決定会計などを演習する
  • 年度別の過去問を通しで解く

それぞれの手順をくわしく解説します。

①分野別問題集を買う

まず分野別問題集を買います。分野別問題集は、似た問題を続けて解くので反復効果が高く、計算問題の実力アップに適しているからです。

問題集は同友館の『事例Ⅳ(財務・会計)の全知識・全ノウハウ』がおすすめ。

計算問題に強い苦手意識がある人は、『30日完成〜』を先に1周解いても良いでしょう。

問題集を買ったら、必ず、いつどの問題を解くかの計画を立てます。当サイトでは『事例Ⅳ(財務・会計)の全知識・全ノウハウ』に対応したスケジュール表を配布しています。

学習スケジュール表(Excel)

②経営分析を演習する

分野別問題集を買ったら、まず経営分析を繰り返し解きます。

経営分析は毎年必ず出題され、かつ問題も易しいです。ここを落とすと、まず二次試験には受かりません。

与件文の読みこみと合わせて18分程度で満点が取れるまで、何周でも解きます

経営分析で使う指標は以下の13個。

指標計算式
売上高総利益率売上総利益/売上高
売上高営業利益率営業利益/売上高
売上高経常利益率経常利益/売上高
有形固定資産回転率売上高/有形固定資産
売上債権回転率売上高/売上債権
棚卸資産回転率売上高/棚卸資産
流動比率流動資産/流動負債
当座比率当座資産/流動負債
固定比率固定資産/自己資本
固定長期適合率固定資産/自己資本+固定負債
自己資本比率自己資本/総資産
正味運転資本流動資産-流動負債
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(営業利益+受取利息+受取配当金)/(支払利息+割引料)
事例Ⅳ(財務・会計)の経営分析で使う指標

上記の他、ROA(利益/総資産)、ROE(利益/自己資本)もたまに出題されます。

経営分析はこれらの公式を覚えて演習を重ねれば、必ず解けるようになります。

③損益分岐点分析を演習する

経営分析をマスターできたら、次に損益分岐点分析(CVP分析)を対策します。

勉強方法は経営分析と同じで『事例Ⅳ(財務・会計)の全知識・全ノウハウ』を使います。同書に収録されている過去問を完答できるまで繰り返し解きましょう。

2020年度ごろから、損益分岐点(CVP)分析の問題は難化しています。前提条件(固定費や変動費)の変化に注意して解くのがポイントです。

事例Ⅳ対策は、経営分析と損益分岐点分析の対策に70%〜80%の時間を割いてOKです。

経営分析と損益分岐点(CVP)の2つがしっかり解けていれば、その他の分野の出来がイマイチでも60点前後は確保できます。

④意思決定会計などを演習する

損益分岐点分析まで固まったら、最後に意思決定会計やその他の小さな分野(セグメント会計など)を対策します。

意思決定会計は、まず易しめの問題(2014年度など)を解き、計算の流れを理解しましょう。その後、他の年度も解きます。

完全に理解し、再現できる必要はありません。たった80分の試験時間で、意思決定会計を完答できる受験者はほとんどいないからです。

最初から部分点狙いでもOKです。意思決定会計は「各年度のキャッシュフローを計算する」→「NPV(正味現在価値)を求める」という流れで解きますが、キャッシュフローまでしか求められなくても十分合格できます。

中小企業診断士二次試験|事例Ⅳの文章問題の対策

事例Ⅳでは、年々、文章問題の比率が高まっています。直近の2023年度は10問中4問が文章問題でした。

事例Ⅳの文章問題は字数が50字~80字程度と短く、内容もそこまで難しくありません。

しかし文章問題のテーマは様々で、的がしぼりづらいです。まずは過去問を5年分解き、そこで出された論点はすべて押さえておきましょう。

過去の傾向だと、以下のような論点が文章問題では出やすいです。

  • 事業活動の財務的利点/留意点
  • 事業承継、M&Aに関する会計
  • 事業評価や費用配賦の是非

事例Ⅳは経営分析、損益分岐点分析を完答し、文章問題で半分くらい解ければ合格ラインと考えて良いです。

中小企業診断士二次試験│事例Ⅳ対策まとめ

この記事では、中小企業診断士二次試験の事例Ⅳ(財務・会計)対策について話しました。最後にポイントを整理します。

  • 事例Ⅳ(財務・会計)は、分野別問題集で基礎を身につけた後、年度別の過去問を解く
  • 経営分析の勉強が最優先。18分程度で完答できるまで何周でも解く
  • 次に損益分岐点分析→意思決定会計→その他の分野の順に対策する
  • 意思決定会計の深追いは禁物
  • 文章問題は増加傾向。過去問で出た論点は押さえておく

事例Ⅳは、手を動かして計算した量がそのまま点数につながる科目です。二次試験の対策をしている間は、毎日、必ず問題を解きましょう。

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この記事を書いた人

中小企業診断士。一橋大学を卒業後、鉄道会社、コンサルティング会社で勤務。2020年、約200時間の勉強で中小企業診断士試験に一発合格。2023年に中小企業診断士2次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。短時間で試験に合格する勉強法、マインドを発信します。

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