銀行員が中小企業診断士を取るメリット5つ【異動・昇進に有利】
銀行は従業員のスキルアップのために資格の取得を奨励している業界です。特に勧められているのが、経営全般の知識を習得できる「中小企業診断士」です。
この記事では、中小企業診断士の二次試験対策に特化した個別指導塾を運営する私が、銀行員が中小企業診断士を取るメリットを5つ解説します。
銀行員ならではの利点・強みが数多くあります。ぜひ最後まで読んでください。
中小企業診断士試験に効率よく合格する勉強法を知りたい方は、本記事を読んだ後に以下の記事も読んでいただけると理解が深まるかと思います。
銀行員が中小企業診断士を目指すメリット5つ
銀行員が中小企業診断士を目指すメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 銀行員としての能力が上がる
- 異動や昇進に有利になる
- 資格手当や報奨金がもらえる
- 財務・会計の対策が楽
- 出向扱いで養成課程に通える可能性がある
それぞれくわしく解説します。
銀行員としての能力が上がる
中小企業診断士は銀行員のスキルアップに最適です。なぜなら中小企業診断士の勉強では、経営戦略から業務・システム、法律まで幅広い知識を学ぶからです。
特に事業法人と関わる部署で働いている人や、銀行の経営管理部門を目指す方には非常に有益です。
異動や昇進に有利になる
中小企業診断士を取れば、異動や昇進に際して有利になります。
なぜなら、中小企業診断士は銀行員が目指す資格の中では難易度が非常に高く、その分だけ合格した場合の評価も高いからです。
人事、経営企画、法事営業、投資銀行などの花形部署への異動を考えている人は、ぜひチャレンジしたい資格の1つです。
また中小企業診断士は独立しやすい資格でもあります。キャリアに幅を持たせたい、セカンドキャリアに備えたいという方にもおすすめです。
資格手当や報奨金がもらえる
金融業界は中小企業診断士の取得を社員に推奨するため、資格手当や報奨金の制度を設けている企業が多いです。
たとえば静岡県に本店をおく清水銀行は2023年9月に「キャリア開発支援制度」の創設を発表し、中小企業診断士の合格者に30万円の報奨金を支給することに決めました。
対象資格 | 報奨金額 |
---|---|
中小企業診断士 | 30万円 |
社会保険労務士 | 30万円 |
証券アナリスト | 20万円 |
FP1級 | 20万円 |
行政書士 | 10万円 |
宅地建物取引士 | 3万円 |
FP2級 | 2万円 |
日商簿記1級 | 1万円 |
※清水銀行ニュースリリースを基に筆者作成
【参考】人的資本の充実に向けた人事制度改訂について(株式会社清水銀行)
現在、金融業界でお勤めの方は、行内の規程を確認してください。大抵は何らかのインセンティブが設けられているはずです。
財務・会計の対策が楽
中小企業診断士では、一次試験(マークシート式)、二次試験(記述式)それぞれに「財務・会計」の科目があります。
最も苦戦する方が多い科目ですが、銀行員は比較的楽に対策できます。というのも、普段から企業の数字に触れる機会が多いからです。
実際「財務・会計」で算出する項目は以下のように銀行員の仕事と馴染みが深いものばかりです。
- 経営指標(売上高営業利益率、有形固定資産回転率、自己資本比率など)
- 損益分岐点
- セグメント別
- 正味現在価値(NPV)
出向扱いで養成課程に通える場合がある
中小企業診断士になるには以下5つの過程をクリアしなければなりません。
- 一次試験
- 二次試験(筆記試験)
- 二次試験(口述試験)
- 実務補習/実務従事
- 中小企業診断士登録
特に二次試験(筆記試験)の合格が大変なのですが「養成課程」と呼ばれる機関を修了すれば、二次試験と実務補習をパスできます。
養成課程は200万円~300万円の学費を払い、場合によっては休職・退職して通う必要がありますが、金融機関の中には出向扱いで養成課程に通わせてくれる企業があります。
実質的には一次試験に受かるだけで中小企業診断士になれるようなものです。養成課程については以下の記事でくわしく解説しています。
銀行員が中小企業診断士を取れば実務従事をパスできる?
中小企業診断士になるまでの過程を再掲します。
- 一次試験
- 二次試験(筆記試験)
- 二次試験(口述試験)
- 実務補習/実務従事
- 中小企業診断士登録
通常は二次試験に合格した後に実務補習を受けます。計15日間で実際の経営診断を経験するという内容です。実際補習はお金もかかるし、場合によっては休暇を取らないといけません。
しかし勤務先でコンサルティング業務に15日以上従事していれば(実務従事)、実務補習を受けなくても中小企業診断士として登録できます。
法人向けの経営支援に従事している銀行員は、実務従事の条件を満たせる場合があります。二次試験に合格した方は、人事・総務担当者に実務従事の証明書を発行してもらえないか確認してみましょう。
中小企業診断士試験における銀行員の合格率
一般社団法人中小企業診断協会のWebサイトで、職業別の合格率が公表されています。2022年のデータを用いて解説します。
一次試験の合格率
職業 | 合格率 |
---|---|
経営コンサルタント自営業 | 12.7% |
税理士・公認会計士等自営業 | 21.6% |
上記以外の自営業 | 15.5% |
経営コンサルタント事務所等勤務 | 19.7% |
民間企業勤務 | 21.0% |
政府系金融機関勤務 | 23.4% |
政府系以外の金融機関勤務 | 21.4% |
中小企業支援機関 | 14.7% |
独立行政法人・公益法人等勤務 | 20.7% |
公務員 | 24.5% |
研究・教育 | 16.8% |
学生 | 16.8% |
その他(無職を含む) | 17.2% |
全体 | 20.3% |
一次試験はマークシート式7科目。受験者全体と比べ、金融機関勤務の方の合格率は高いです。
二次試験の合格率
職業 | 合格率 |
---|---|
経営コンサルタント自営業 | 12.7% |
税理士・公認会計士等自営業 | 16.9% |
上記以外の自営業 | 16.1% |
経営コンサルタント事務所等勤務 | 17.0% |
民間企業勤務 | 18.7% |
政府系金融機関勤務 | 19.3% |
政府系以外の金融機関勤務 | 20.4% |
中小企業支援機関 | 12.9% |
独立行政法人・公益法人等勤務 | 17.5% |
公務員 | 17.5% |
研究・教育 | 13.5% |
学生 | 16.3% |
その他(無職を含む) | 10.0% |
全体 | 17.8% |
二次試験おいても、受験者全体と比べると金融機関勤務の方の合格率は高いです。
仕事と試験内容の親和性や、資格の勉強への慣れがその要因と考えられます。
銀行員が中小企業診断士を目指すメリットまとめ
今回は銀行員が中小企業診断士を目指すメリットや、銀行員の合格率を解説しました。
中小企業診断士は、行内での異動・昇進、独立・セカンドキャリアと、銀行員が幅広く活用できる資格です。
他の業界と比べても、合格のインセンティブが大きいです。働きながらでも十分目指せる資格なので、興味がある人はぜひチャレンジしてみましょう。
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