中小企業診断士がなくなる、廃止されるというデマについて【予備校代表が解説】

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インターネット上には、根拠のないデマが多く流れます。その1つに「中小企業診断士がなくなる、廃止される」というものがあります。

これから勉強を始めようとする方は、聞いて不安になる話でしょう。結論から言うと、そんなことはありません。

この記事では、中小企業診断士の二次試験対策に特化した個別指導塾を運営する私が、上記のデマについて解説します。ぜひ最後まで読んでください。

中小企業診断士試験に効率よく合格する勉強法を知りたい方は、本記事を読んだ後に以下の記事も読んでいただけると理解が深まるかと思います。

執筆
花月 諒(かげつ りょう)
経済産業大臣登録 中小企業診断士

通信講座と独自の二次試験解法を組み合わせた勉強法で、中小企業診断士に約200時間で合格。2023年、二次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。

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目次

中小企業診断士がなくなる、廃止されるはデマ

中小企業診断士は中小企業支援法という法律に基づく国家資格です。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。

一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士ってなに?」

仮に中小企業診断士の資格が廃止されるのならば、その根拠となっている中小企業支援法が改正されますが、本記事の執筆時点(2024年3月)ではそうした情報は出ていません。

中小企業診断士がなくなる、廃止されるというデマが流れる理由

ではなぜインターネット上では「中小企業診断士がなくなる、廃止される」というデマが広まるのでしょうか。

「中小企業診断士は独占業務が無く稼げないから、先行きを不安した人が廃止の誤情報を流している」という考え方もあるようですが、表面的で浅い解釈です。

私は以下の2つがデマが流れる理由だと考えます。

理由①意図的にデマを流す人がいるから

デマは「自分が得をするために、意図的に嘘をつく人」から始まります。

たとえば怪しいネットビジネスの情報商材を売ってる悪人がいるとします。

そういう悪人が「資格を取って収入アップを目指す人」に情報商材を買ってもらうにはどうすれば良いでしょうか。

方法は色々あるでしょうが、1つとして「その資格は廃止されるらしいよ。頑張ってもムダになってしまうね。それより楽をして稼げる道があるよ」と不安をあおりつつ、甘いミツを見せるという方法が考えられます。

人の心理を誘導してお金を稼ぐために平気で嘘をつく。インターネット上にはそんな人が少なくありません。

理由②ニセ情報を信じて拡散する人がいるから

「中小企業診断士が廃止される」というデマを見た人の中には「そうなんだ。これは誰も知らない情報だから、みんなに教えてあげないと!」と考え、デマを拡散する人がいます。

総務省が公表している『インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために』によると、ニセ・誤情報に気づかない人は75%、そのうちニセ・誤情報を拡散する人は25%もいるそうです。

総務省の資料。ニセ・誤情報に気付かない人は75%で、そのうち25%の人がニセ・誤情報を拡散してしまう。
画像出典:インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために(総務省)

要するにデマほど早く広まるのです。

中小企業診断士はなくならない【将来性あり】

中小企業診断士がなくなる、廃止されるという話はデマで、むしろ先行きは明るいと考えられます。その理由は以下2点です。

  • 中小企業庁や政府関係者が中小企業診断士を増やそうとしているから
  • 中小企業診断士はAIに代替されづらい仕事だから

くわしく解説します。

中小企業庁や政府関係者が中小企業診断士を増やそうとしているから

中小企業診断士試験を所管する中小企業庁は、中小企業診断士を増やそうとしています。

なぜなら経営相談窓口など公的支援の現場で、企業の相談に対応する中小企業診断士が不足しているからです。特に地方では顕著です。

実際2019年から中小企業診断士一次試験の合格率は大きく上昇しています。量を確保するため、意図的に難度を下げたと考えられます。

また政府関係者にも中小企業診断士を増やす思惑があります。2020年10月6日の経済財政諮問会議で、新浪剛史議員が以下のような提言をしました。

中小企業診断士は1次試験では7科目すべてに合格しないと試験に通過できないなど、たいへん難易度が高い。税理士のように、何科目か合格したら資格を与えるようにしてはどうか。

この提言を経て、2021年度から制度が見直され、試験に途中までしか合格していない人も、履歴書でアピールできる名称が与えられるようになりました。

こうした取り組みで、国や政府関係者は中小企業診断士の制度を後押ししています。廃止とは逆行する動きです。

中小企業診断士はAIに代替されづらい仕事だから

AIの発達により、AIが人間の仕事を代替する時代が現実のものとなりました。それは士業の世界も例外ではありません。

【参考】AI時代のサムライ業(上)代替の危機(日本経済新聞)

しかし中小企業診断士は士業の中ではAIに代替されにくい資格だと言われます。理由としては以下が考えられます。

  • 定型的な仕事が少なく、創造力が必要だから
  • 自身の経験が価値を生む仕事だから
  • 人間同士の信頼関係で成り立つ仕事だから

単純な書類作成や調査業務などはAIに変わっていくと考えられますが、仕事の根幹は人間が引き続き担うでしょう。

「中小企業診断士がなくなる、廃止される」に関するまとめ

今回は「中小企業診断士がなくなる、廃止される」というデマについて解説しました。要点を整理します。

  • 2024年現在、中小企業診断士がなくなる・廃止になるという話は無い
  • インターネット上には「意図的にデマを流す人」「ニセ情報を信じて拡散する人」がいるためデマが広がる
  • 中小企業庁や政府関係者の意向を踏まえると、むしろ中小企業診断士を増やす傾向にあり、将来性は高い資格と言える

インターネット上のデマに騙されないために、以下をチェックして正しい情報を得ましょう。

  • 情報源が明示されているか
  • 発信者はその分野の専門家か(最低限、実名を開示している中小企業診断士であるべき)
  • 他の人や他のメディアはどう言っているか

今回は以上です。

この記事を書いた人

中小企業診断士。一橋大学を卒業後、鉄道会社、コンサルティング会社で勤務。2020年、約200時間の勉強で中小企業診断士試験に一発合格。2023年に中小企業診断士2次試験対策に特化した個別指導塾「レインボー」を設立。短時間で試験に合格する勉強法、マインドを発信します。

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